『ドキドキしますね』
喜びをにじませた声音に、アダルベルトはそうだなと同意する。
『……失敗したらどうしましょう』
「おいおい、さすがにそれは困るぞ」
巨鳥の姿となったラウラの背に乗り、城塞都市の上空を旋回する。
『うふふ、冗談です。絶対に失敗しません!』
アダルベルトの手の中にあるたくさんの花びらを詰めた籠。眼下では、もうすぐ誓い合ったふたりが教会の外へと姿を現す。
そのタイミングで、空からを祝福の花びらを降らせるのだ。
責任重大かつ絶対に失敗できない任務。緊張で手は震えるが、それ以上に喜びが勝る。
その時、教会の扉が開きはじめた。
準備万端。花びらを掴んで声を上げる。
「よし、行くぞ!」
第60回Twitter300字SS参加作品。お題『祝う』。
改行除き295字。
久しぶり?にセウスベルグシリーズから。